ザ・コーヴ
明治大学も映画「ザ・コーブ」上映・討論会を中止だそうである。
上映会・討論会を開いて、上映反対派による暴力事件を危惧したのだろう。明治大学も、外観とともに、大きく変わってしまったものだ。
地元の漁協は
と主張しているらしい。
「イルカ捕獲は日本の伝統文化で、漁はすべて合法的だ」
実際は生活もあるから、さまざまな主張があることと思われる。が、これでは、なぜ捕鯨が問題視されているのかについて、ひたすら平行線を辿るだけだ。
可愛いから、知能が高いからといった理由だけではなくて、もっと倫理的な問題であるのだが、伝統だから、合法だからという理由では反論にならないだろう。多くの差別は、かつて伝統であり、合法でもあったことを想起すればよい。
ところで、産経がこんな説明書きを載せている。
「イルカや鯨を食べることは他の魚や肉を食べることと同じはずだが、映像を武器に感情論で批判するのが反対派の常套(じょうとう)手段だ」
感情論で反対している人は多いのかもしれないが、ここ40年ほど欧米でなされた議論について、だんまりを決め込むのはあまり生産的ではない。
イルカや鯨、魚、そして、上で肉と言われているのは牛や豚、鳥を指すと思われるが、これらを同列に論じることもちょっとどうだろうか。
こうした議論は、結局、食べ物のことで「外人」が口を出すなとか、感謝して「いのち」をいただくことこそが大事という「感情論」に終始してしまうのではないだろうか。
そもそも、日本の国内でやっていることは善であるという妙な共同意識が抜きがたく見られることへの違和感も大きい。
ある視点から見れば、ひどいことなのかもしれないけれども、「同じ」日本人なのだから、そこは、まぁまぁといった、馴れ合いの文化がいまだ一部の人には強固にあって、その圧力で、映画という娯楽に歯止めがかかってしまうのは何なのだろう。
そして、また日本の伝統と、「日本」が持ち出されることにも違和感がある。
『ザ・コーヴ』は潜入取材などをしているらしいから、画面酔いしてしまうので、残念ながら映画館では「見れない」だろう。
レンタルして見るしかないか。。。