久々の学会

本日は、青山学院で開かれていた政治思想学会へ。

経済学史学会が5月開催になってからは、1度参加したものの、それ以外は同日開催がほとんどだったので、政治思想学会は本当に久しぶり。

午前中は「国際社会とマイノリティ」。コスモポリタニズムを称揚する議論は、共感はするけれども、正当化が難しいことを改めて感じる。いや、道具的価値しかないのだったら、功利主義でいいのではと思ってしまう。

先進国にいる人間は、自分たちの豊かさが貧困国の犠牲の上に成り立っていることから目を背けているという話が報告にあったことに倣って言えば、功利主義の命題、人間に限らず動物をも含めた感覚的存在の利益を配慮すべきだという強力な平等主義を徹底することは、先進国の人間のライフスタイルを明らかに変容させるべきものをもっているので(たとえばヴェジタリアン)、人は、そうした主張からは目を背けてしまうかもしれない。

ヌスバウムについては、特定の善の構想という発想には、やはりいつまでも違和感が残るし、それらへの西欧中心主義などの批判には応答し切れていないようにも感じる。

境界線については、空間的なイメージとレトリックとが交錯している概念なので、そのあたりの腑分けは相当深められている筈だから、その点も明らかにしつつ論じてもらえればと思ったり。

午後のシンポでは、W先生のコメントが光る。文明という言葉が19世紀前半までは不明確であったのではという指摘はなるほどと思う。昔、桑原訳『社会契約論』は信用できないと仰っていたことを改めて思い出した。

ともあれ、いろいろ挨拶をすべき人もいらっしゃったが、どうもタイミングが悪くしないまま、途中で失礼してしまう。。。