食料価格の高騰

先物への投機マネーの流入で、穀物価格をはじめ、原油価格も高騰し、日常的な食品も値上がり傾向にある中、今日は全国一斉休漁となった。

イカが値上がるぞという話はちらほら聞いていた。築地でもじわりじわりと新鮮なイカの値段が上がり、争奪戦になる気配だそう。

じきに天然の鯛なども貴重になるかもしれないが、それは困りますな。

そうかと思えば、たまたま舛重正一編『食と科学技術』の「巻頭言」で熊倉功夫氏が暢気なことを言っている。

家畜は確かに品種改良を行なって美味しくなった。「野生」のものは今では滅多なことでは手に入らないから(そもそも絶滅しているものも多い)、そうしたものと味の比較はしようがないが、魚も「養殖」と言わずに、「家畜」ならぬ「家魚」とすれば、「自然」大好きの日本人にも受け入れられようという話。

しかも、「そもそも日本人は『家魚』づくりに向いているのではあるまいか」と言って、ヴェルサイユの庭園と日本庭園とを比較している。

ヴェルサイユのはあまりに人工的だが、「日本人が理想とするところは、天然自然と人工を合体させ、さらに高次元に昇華させたところにある」云々。

日本のことしか知らない人が、迂闊に西洋のことを引き合いに出して日本文化の特性について語ることがいかに見当はずれのことになるかは枚挙に暇がないが、いまだにそんなことを語る人がいるのを見て愕然とする(尊敬していた人であったが、最近どうしたことだろう)。

日本庭園の特質とやらは、それこそイギリス式庭園の特質でもあろうに。