久々の更新

5月下旬は学会で松山へ行き、その後、少し伊予の国をめぐる。山の斜面が蜜柑畑で覆われている様は圧巻。また入り江に広がる真珠の養殖場や小島が点在する宇和島近辺の景色も素晴らしい。

また神田窯も訪れて、窯を見せてもらう。焼きはまだ試行錯誤の段階のようだが、絵付けの器に素晴らしいものがある。また訪れたいところだが、ここまではやはり遠い。

先週末は学部時代からの親友の結婚披露宴。新婦の友人たちが企画したもので、心温まる素晴らしい宴となる。初めて司会なるものをしたが、段取りが見事に組まれていたので、もう一人の司会にほとんど任せてパーティーを満喫。

廣瀬純『美味しい料理の哲学』フーリエを参照することから話を始まる。

フーリエの構想した生産者・消費者の協同組合による社会において、2つのことが目指されていた。それは性と食であり、この2つの領域の生物学的な機能からの解放というテーマであった。フーリエは美味しい料理が一般の人々の手に届くような社会を夢想していたという。

しかしその後の歴史において、性の解放が多くの人々の心を捉えて、さまざまに論じられたのに対して、食の解放は等閑視されたままである。

性のコミュニズムに対して、美食のコミュニズム。骨と肉という視軸から美味しさをめぐって、生命のあり方、フランス料理の在り方などに素材に、思想史的知見から議論した本書はなかなかに興味深い。