平和....

「反戦ビラ配布処罰は合憲 最高裁が上告棄却 罰金刑が確定へ」だそうだ。

 判決はビラの内容ではなく、配布方法の妥当性のみを検討したことを強調し、刑罰が必要なほどの「住民の被害」については具体的に触れなかった。判決がかろうじて言及したのは、官舎の管理人から被害届が提出された事実だが、公判の過程で、その被害届はあらかじめ警察が準備したことが判明している。

まぁ、配布方法の妥当性は問われてしかるべきだし、いろいろな広告がある中でなぜ反戦ビラだけという疑問も、すべてを取り締まることは不可能だからということで、一応は切り抜けられよう。

けれども、「住民の私生活の平穏を侵害したのだから、刑罰を科しても違憲ではない」というのはどうだろうか。そもそも誰も侵害されたと思っていないらしいのだから。

「平和ボケ」という言葉がある。昔から、この言葉には違和感というか、軽蔑的なニュアンスがあって好きではないけれども、確かに日本は平和ボケしているのかもしれない。

ただ平和ボケという言葉が往々にして、軍事化へのステップとして使われるのに対して、ここでは、世界の「戦争と平和」の問題に思いをめぐらせ、平和を積極的に主張するために用いたい。

一国平和主義が悪いとは思わないが、世界はもっとシビアな世界にあるし、昨今の日本においても、それほど安穏とした世界があるわけでもない。晩年の丸山も言っていたが、他者感覚なり、他者への想像力は不断に喚起されるべきものだと改めて感じる。