音〜ヨーロッパとアメリカ

授業準備をしつつ、少し疲れたので、バーンスタインウィーンフィルブラームスの4番を聴く。

ヘッドフォンで聴いていると、時折バーンスタインの唸り声が聴こえて来るので最初はぎょっとする。

バーンスタイン晩年のもので、ブラームスらしいというか、時代に逆行するかのように作られたこの曲の魅力をとてもよく引き出している。テンポの揺れも自然だ。ただウィーンフィルがどこかアメリカ的に聴こえて来る。整っていて美しすぎるのだ。

先日荒庸子さんのチェロのCDを聴いた折にもそれは感じたことだった。ジュリアードで勉強された彼女のチェロの音はダイナミックで確かに美しく、心地よいが、一聴してアメリカのクラシックだと感じた。

もちろんこのことはよい悪いという問題ではなくて、音楽教育をどこで受けてどのような影響を受けたのかの問題である。

一方、水谷川優子さんのチェロの音はヨーロッパ的だ(こうした単純なアメリカ、ヨーロッパの分け方はすこぶるいい加減だが)。そこには素朴さというか、ある種の土臭さ(某マネージャー談)がある。流れから言えば、フルニエの孫弟子にあたる彼女のチェロの音には思想があると言ってもよい(この場合の思想が何を指しているか措いておこう)。

さて上のバーンスタインの演奏に戻れば、個々の音は確かにウィーンフィルらしい感じがするけれども、全体としてアメリカ的なのは不思議だ。

ラトルが振る場合、ウィーンフィルの持つ艶やかさが失われるということがよく言われるけれども、指揮者の個性がこれほど全体に反映されるのを聴くのがある種の醍醐味である。

さて早く授業準備を進めなければ。。。