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をようやく観る。新宿丸井のバルト9で上映中ということで3時過ぎに行ってみると、なんと2時の上映の後は夜までやらないという。仕方ないのでコマ劇場そばのジョイシネマに行く(スピーカーが古かったようで高音の抜けがよくない)。

出来たばかりの丸井の建物から地下にある映画館に行くと、妙なギャップを感じた。客層もまったく異なるが、観に来ている人が意外に少ないのに驚いた。せいぜい数十人。丸井での上映が1日3回だけというのも頷ける。

映画は主に医療保険に加入している2億5千万人の「受難」が描かれる。アメリカの保険会社は保険加入者が医師の診断を元に必要な医療を要求してきてもそれを拒否することが当たり前のように行なわれている。拒否された加入者は悲惨な場合には死に至る。一方で、そのような事態を招いた保険会社お抱えの医師は待遇がよくなり、給料アップとなる。

議員もすっかり保険会社に献金によって買収されているので、そうした状況を是正しようという動きはほとんどない。

こうした末期的な状況に対して、人間として、広く社会に訴えかけようとする映画で、悲惨な内容を扱いながら、ユーモアを忘れずに、なかなかよく出来ている。

昔、アメリカは契約社会で、契約書は隅々まで読んだ上で契約するものだが、日本は契約書もろくに交わさず、交わしてもろくに読みもせずという話を散々聞いた気がするが、今回の映画を観て、アメリカでは医療保険の加入者は契約書をちゃんと読んでいないのだろうかという疑問もわいた。

意識不明に陥ったら、契約書にあるように救急車を呼ぶ前に保険会社に一報するなどできはしない。契約を交わす際、そんな滅茶苦茶なことは保険会社も要求しないだろうということであまり気にとめなかったのか、あるいはそうした無茶苦茶な条件を付してあるものしか、医療保険の選択の余地がアメリカにはないのか。。。

それにしても、保険金が支払われる段になって、契約の際に既往症について虚偽があったとか、難癖をつけてできるだけ払わないようにしようという保険会社の態度は利益を追求する企業のあり方として理解はできるが、医療という分野だけに不道徳極まりない。