被害も違法性もないのに、なぜ世界はナーバスになったのか

某MLで知った記事。「被害も違法性もないのに、なぜ世界はナーバスになったのか」リチャード・ロイド・パリー(英タイムズ紙論説委員)」

議論の枠については以前から思っていたことなので、基本的に賛成。インドのミサイル発射の件と比べて異様な盛り上がりであることは確かだ。

通常の軍事訓練の枠内でのこと。国際法上の問題も(それほど)なく、実際の被害も出ていない(海洋汚染という話もあるが)ことに対して、「東京では外交官と軍幹部が小泉純一郎内閣総理大臣首相官邸に設けられた非常事態タスクフォースの右往左往ぶりがテレビに映し出された。新聞の見出しは「国際社会への衝撃」とか「恐怖―それは現実だった」という調子だった。外交官は世界へ飛んで、事件への対応を模索した。

しかし、この危機感を生んだのは、実際はなんだったのか。」

「月並みの答は、金正日は極めて危険な指導者であり、彼の予測不可能性は狂気に近く、合理的な理由はないというものだ。安全で、豊かで、快適な日本の視点からするならば、まさにそう感じられるのだ。」

「しかし、平壌から見ると世界はまったく違って見えるのだ。金正日は残酷な独裁者からも知れないが、狂人ではない。昨日のミサイル発射は北朝鮮とその指導者の不適合性だけでなく、主要国の不適合性を暴露している。
 北朝鮮北日本の空を超えて長距離ミサイルを発射してからほぼ8年になる。それ以来、北朝鮮を囲む環境は劇的に変化した。あの国は破局的な飢饉を経験し、西側とのかつてない純粋な和解の一歩手前まで漕ぎ着けた。2000年に、金正日は韓国の金大中前大統領とも、クリントン米大統領国務長官マドレーヌ・オルブライトとも、初めて握手を交わした。しかし、いわゆる「太陽政策」という寛大なかかわりかたはブッシュ大統領の当選によって突然の終焉を迎えた。
ブッシュ大統領は有名な2002年の施政方針演説で北朝鮮を「悪の枢軸」の一味と呼んだ。1年後、金正日は「枢軸」の一員であるサダム・フセインが侵攻され、退位させられるのを目撃した。一方で、米国は北朝鮮が不法なウラン濃縮プログラムを実行し、核兵器製造能力を開発していると非難して、北朝鮮の現存する原子炉を買い取る約束を迫った。これに対する北朝鮮の反応は核不拡散条約からの離脱とプルトニウム生産の開始であり、すでに10数の核弾頭を製造したかも知れない。」

アメリカの外交戦略の急転だけが原因だとは思わないけれども、さしずめ革命後のロシアにおける社会主義政権が置かれた状況を彷彿とさせる囲い込みである。

エネルギー問題にしても、経済制裁という名に飾られた制裁にしても、北朝鮮をどんどんと窮地に追いやった上で、現在の情勢である。

北朝鮮の政治体制が実態としてどのようなものかは正直わからない(わかるとマスメディアで言っている人々は情報のソースを是非提示してもらいたいものだ)。そうした状況で批判するのは当てが外れる可能性はあるけれども、あの国の状況は褒められたものではない。

しかしそれにしても、もう少し冷静に事態を見つめられないものか。

上の記事を書いた記者をググると、以下のような記事に出会った。プレスリーの家を訪ねたということは聞いているが、相変わらず、「大丈夫かな」と思わざるを得ない。。。教育基本法の改悪云々よりもまずもって「政治家」の「教育=躾」を厳しくした方がよいのではないか。

Meaning of the madness in Memphis