中里太郎右衛門

図書館で借りていた13代中里太郎右衛門のビデオを観る。輪積みと並んで独特な成形技法である「叩き」。中里氏が規則正しく叩く音は見事だ。12代が研究して復活させた叩きの技法の味は13代によるとやはり独特な歪みにあるという。

30分ほどのビデオなので、叩きについてじっくりと観れたわけではないから、詳細は分からないけれども、内側を濡らす点で輪積みとは異なるようだ。輪積みでは内側でしっかりと固定する必要があるので、決して中を濡らすことはしないが、叩きの場合はやはり外側が濡れては叩けないだろうから、内側を濡らして伸ばすのだろう。

もちろん叩きの場合は紐作りと同じく轆轤を使って土をまわすので、作る側の人間が動くことはない。輪積みは固定された台の上で人間が回り、土を練り上げていく。そういう意味では輪積みが一番原始的な方法かもしれないが、強度はおそらく「輪積み>叩き>紐作り」であろうか。轆轤などの便利な道具を使って成形するようになればなるほど、土の強度が弱まるということを考えると、便利さと強度は反比例する関係にあるのかもしれない。

そういえば、番組の中で、内側にも叩きに使う道具の跡がちらっと見れたが、内側にも道具を使うのだろうか。ともあれ熟練の技を見るのは心地よいことだ。