茶飯釜

昨日のお昼。前々から伺いたかった某居に招かれ、茶飯釜のお茶事。喫茶去の御軸に始まり、待望のお茶室へ。床柱、天井、中板、自在棒など見所満載で期待に違わぬ仕上がり。竹の棒で息を吹きかけ、炭全体に火が回るようにして釜でご飯を炊く。火加減が威勢よくなったところで数分置いて自在棒を動かし、炭から少し離す。

まず天然鯛とツクシの向付とお酒が振舞われ、早速春を感じさせる。日本酒は広島の加茂鶴の純米「大和」。適度な甘さと辛さと苦味がよいお酒。そして炊き上がったご飯を戴く。これがもう何とも言えず美味しい。炊き加減が素晴らしく、もちっとした食感にお米の甘さが加わって、口にした途端、癒されるというか、日々のこまごましたことが一挙に遠のいて至福の時を感じる。

汁碗には酒糟汁。白味噌との按配が素晴らしく、鮭、人参などがたくさん入って体を温めてくれる。煮物碗は卵豆腐の中に白魚が入ったもので、築地に買いに行かれたご亭主らが、行きつけのお店で白魚を勧められたそうだ。うっすら丁寧にとられたお出汁にとてもよく合う。
そして焼き物。最初鰤かなと思ったら、どうも表面の雰囲気が違って、なんと牛のステーキ、木の芽添えである。これまた上品な塩・胡椒・お醤油の味付け。。。

炊き合わせもうっすらと仕上げられて柚子の風味がよく、美味の海老も綺麗にワタ抜きがされている。和え物には少し焼いてから細かく刻まれた油揚げなどが入って、これに煮立たせた日本酒に鰹と梅を入れてとったお出汁(+お酢など)を絡めたもの。これまた上品なお味。。。日本酒は途中から久保田に。

お濃茶、お薄と戴き、お道具もまたよいものを拝見する。濃茶席で使われた居主御自作の茶杓も見事だし、薄茶席で拝見した「道」の御茶杓も繊細な佇まい。金華釉の高取焼も素晴らしく、そもそも本席の御軸には、柳に新芽。。。これから世に羽ばたいてもらいたいというご亭主側のお気持。。。後座では竹花入に見事な椿と枝。。。素晴らしいお心いれのお茶事と連携の見事な裏方の方々とに感謝した一日。

さらに夜はO氏に串駒に連れて頂く。これがまた素晴らしい料理とお酒。日本酒は「十四代 出羽の里」、静岡「正雪」、「大瀬戸」、土佐「亀泉」、新潟「村祐」、「.....」、モロミ酒(盗酒)、「龍力」、「十四代 出羽燦々」を途中各酒造の仕込み水を戴き、店主のO夫妻のお話を伺いつつ。。。こんな贅沢は今日限りと思いつつ帰路につく。