正戦論。。。

昨日は、お昼にいろいろ仕事をこなして、夕刻に本郷で政治哲学の勉強会。グローバルな正義についての論考を2本ほど。先月に前半を読み合わせしたArnesonの議論については、緊急度の高いグローバルな貧困と国内の相対的に緊急度の低い貧困、人間としての義務といった普遍的なものと愛国的な感情といったローカルなもの、身近でない者と身近な者などの対立項で考えていくスタイルで興味深いが、結論部がどうも。。。またresponsibilityという点から責任を考える場合、国内の人々からの訴えと、海外の人々からの訴えとをどうバランスするのかは興味深いところだ。

2本目はJ.T. JohnsonのTHE JUST WAR IDEA: THE STATE OF THE QUESTION。前半部は、正戦論の歴史について、中世からの歴史を紐解きつつ整理していて便利だ。だが聖戦論(crusadeやholy war)と正戦論(just war)という位相が異なる概念を混同しているような点や、平和主義の整理がやや中途半端なのが残念なところ。しかし忘却の彼方にあった「戦争への正義(jus ad bellum)」と「戦争における正義(jus in bello)」における区別を思い出し、核兵器をはじめとして「高性能」な兵器が開発されるに及んで、「戦争における正義」によって正戦論が語られるようになるといった論点は教えられた。ちなみに某應大学の萩原先生の講義録に「正戦論」が取り上げられている。「聖戦論」はイスラムにのみ該当するような纏め方になっているが。。。