ル・クルーゼ

最近実家から送ってもらったフランスのお鍋「ル・クルーゼ」

「強火ではなく弱火で調理できるので、とても経済的」「保温性に優れているので、料理が冷めにくく、温かいまま」「平らで厚い底なので、材料が焦げつきにくく、きれいに仕上がります」「レモンやワインなどの酸味にも強く、繰り返し使用しても臭いが染みつくことがありません。」「耐久性に優れているので、世代を越えてご愛用いただけます」。しかも直火(当然か)、オーブン、電気磁器調理器、ハロゲン可で、蓋も重いので、ふきこぼれが少ない。

それで肝心の料理はと言えば、今のところ試したところでは(作ってくれたのはJさんだが)、ポトフが美味しい。とくにジャガイモやキャベツの芯、ニンジンなどが芯から熱々で(表現は悪いけれども、電子レンジで温めたように中がアツアツ)、野菜の甘みがしっかりとある。

いつも使っている五重底の鍋よりも煮込み料理に向いているようだ。真夜中、論文をまとめながら、ポトフをつついていると、ふんわりと温かさに包まれる。

ところで今夕、訪問者があった。しばし紅茶や抹茶を飲んで談義したが、話は立春のことになった。

2月3日は節分だったが、それはあくまで新暦でのこと。立春の前の節分は旧暦では3月2日になる。年中行事は旧暦ですべきであるというのが持論なので、太巻きもその日に食べなければならない。

しかしこの間は無意識に新暦に従ってしまっていた。来訪者に諭されて初めて気づいた次第。。

そもそも新暦では春を意識できない。もちろん雪の下に隠れた草木に春を感じるのが最上という観念もあるが、立春はやはり新暦の3月くらいでないとどうもという気がする。

イングランドでも1752年までは1年の始まりを聖母受胎告知の日の3月25日とするユリウス暦だったが、グレゴリオ暦になって、なぜか1年の始まりが、あの陰鬱たる1月になってしまった。

月の名称も、日本では数字で数えるが、それも風情のないことのように思われる。日本の言い方だと今月は2月。英語だとFebruary。2月という言い方をいまさら陰暦の呼称である如月にするわけにもいかないが、季節の移り変わりに敏感であった昔の人々の感性がどんどん失われているのは確かだ。

仔細に表現され使い分けられてきた言葉の世界が、単なる衒学趣味に堕して、単調な言葉を使うだけの、ある種「意味喪失」を帰結したことは、これまたいまさらながら現代社会の大きな病理であり、問題点かもしれない。

少し風邪気味のような気がするが、論文をまとめないと。。。