ベンサマイト
P・シンガーのように功利主義者は現代でも存在するが、現代においてベンサ(タ)マイトはいない。ベンサマイトがいたのは19世紀のイギリスだった。
現代ではベンサム研究者やベンサムの主義主張を信奉する人を普通はベンサマイトとは呼ばない(ネットで検索すると、副島隆彦氏は現代のアメリカのリバータリアンをベンサマイトとみなしているようだが)。
しかしヴェーバー(ウェーバー。どちらの表記をするかで、ヴェーバー研究の派閥が分かるらしい...)を信奉している人はヴェーバリアンだし、ヘーゲルの場合にはヘーゲリアンといった名称がある。現代ではロールジアンなどがいる。
このような思想家・哲学者の世界観に準拠して思考する人のことを、その思想家や哲学者の名前を文字って呼ぶとしたら、ベンサマイトが一般的でないのは、ベンサムがあまり個性的な思想家ではなかったという評価を反映しているのかもしれない。
その点、特異なのはマルクスである。marxist(マルクシスト)とmarxian(マルクシャン)という呼び方がある。確か、マルクシストはマルクスの考えを金科玉条のように信奉するタイプを指し、マルクシャンはマルクスの問題意識を共有してその概念を用いながらも柔軟な思考をするタイプを指したと思う。。。