The Shadows in the Cave

昨晩、またもや某親友と飲む。。。BBCのドキュメンタリーの話になり、一緒に第3部を観ることに。

NHKのサイトより--------------------------------
▼第3部「作られた恐怖」

 2001年の9・11事件後、ネオコンはかつてのソ連をモデルにイスラム過激派を邪悪な強敵に仕立て上げる。世界には極端なイスラム思想によって9・11マドリードの列車攻撃のような無差別テロに走る個人やグループが存在するが、高度に組織された秘密の国際テロネットワークがいつ西側社会を攻撃するかわからないというのは妄想だ。しかしいまや、もっとも暗い想像力をもつ者がもっとも強い力をもつ時代となった。9・11以降、政治家たちがどのように恐怖を誇張し、煽り、利用してきたか、さまざまな例を挙げて追及する。

                                                                                                  • -

 番組は「アルカイダ」が実在しない組織の名称であるとする。2001年、アメリカでビンラディンを訴追しようとしたときに、犯罪組織の名称がなければ反マフィア法で取り締まれないために作り出した名称のようである。ビンラディンの役割もせいぜいが幾つかの組織に資金提供しているだけで、彼が全世界のイスラム原理主義のグループに指示を出して、各国にテロリストを潜伏させているというのは根拠薄弱な神話に過ぎないという。

実際、イギリスでも、600人あまりがテロを計画しているとして拘束されたが、テロを実行しようとしていた証拠も、アルカイダと関連があるとされる証拠もみつけられていない。

イラクザルカウィなる人物が潜伏しているとしてファルージャなど各地で住民の虐殺が起きたが、ザルカウィなる人物が実在の人物かどうか大いに疑われる点で、上の問題と同型であろう。

タイトルの「洞窟の中の影」とは、アメリカ政府がまことにしやかにアフガンに洞窟の中にテロリストらが作った巨大な施設があるという吹聴して、米軍が探索したが、そんな巨大な施設どころか、洞窟さえも見つけられなかったことを文字っている。米軍はせいぜい小さな武器庫跡をみつけたぐらいであったらしい。

このように国際社会にとって脅威であるような人物や組織を仕立て上げることで様々な軍事的行動を正当化してしまうというのは、まったくもってひどい話だ。

アメリカ政府がどのように神話を作り出したか。その一端をBBCのドキュメンタリーから抜き出してみよう。アメリカ政府の軍備管理軍縮庁所属(1977〜80)だったアン・カーン博士に、ラムズフェルドとチェイニーとウォルフォウィッツが1976年に主張したソ連大量破壊兵器について意見を求めたことについてのインタビュー。

「アン・カーン博士:彼ら[ラムズフェルドら]はソ連の音響装置がアメリカの潜水艦を探知していると主張することはできませんでした。それを裏づけられなかったからです。そこで彼らは、だったらわれわれの潜水艦隊を脅かすことのできる非音響的な方法があるのではないか、と言いはじめました。しかし、ソ連が非音響的な探知システムをもっている証拠はありませんでした。彼らの言い草はこうです。『やつらがそれをやっている証拠が見つからないのは、こちら側のみんなが考えるような方法とは違うやり方でやっているからだ。それがどんな方法だかはわからないが、やっているに決まっている』

「聞き手:証拠もないのに。

「カーン:証拠もないのにです。

「聞き手:で、彼らはそれが兵器の存在しない事実を裏づけるわけではない、と。

「カーン:存在しないことを意味しない。ただ、われわれが探し出せていないだけだ、と」

                                                          • -

これは「予防」という考え方に依拠したものであるとドキュメンタリーは結論付けているが、最後にカーンがラムズフェルドらのものとして伝えている言葉は、小泉首相が「大量破壊兵器が見つからないからといって、大量破壊兵器が存在しないと言うことになるのか」といった詭弁と同様であろう。

ただしかしロンドンの同時テロ(実は同時ではないが)が起きた後では、単にテロネットワークが虚像であるというだけでは済まないだろう。

ドキュメンタリーでは、ブッシュ大統領らのあまりに愚かな振る舞いを見てしまったため、目(!?)なおしに、1996年にETVで放送された「丸山眞男」のドキュメンタリーを見る。その後、外苑を散歩して、それぞれ寝床に。