De Morbis Artificum Diatriba

18世紀初頭に出版されたラマツィーニの『働く人の病』。職業と健康との関係を論じた書物である。

この中に、「学者の病気」という文章がある。これがなかなかに興味深い。

名誉や尊厳、金銭的な報酬がなければ、誰も学問などしないだろうという当時のアカデミックな世界に対する辛らつな言葉から始まるものの、学者は座りがちの生活なので、そのことによる病気に苛まれる(座り続けなくてはならないのは、昔の本が大きくて重たかったことも影響があるだろう)。

しかし座りがちな生活を避けるために、無理に長時間たっていることで、病気にもなってしまう。

次に学者は胃が概して弱い。それは脳を動かしているから、「胃は食物をうまく消化できない」結果、消化不良や顔面蒼白に始まり、やせてきて、憂鬱な気質への変化してしまう。。。

そして視力が悪くなる。とくに小さい字を読むので、なおさらそうだとのこと。それは近視に始まり遠視、老眼になる。

さらに議論している人などは、喉をやられ、喘息状態を引き起こすといったこともっかれている。

こうしたことは、現代でも妥当することだが、面白いのは、次の一句である。

「哲学者や文学者の健康は社会の幸福に最も大切であるので、できるかぎり彼らの健康を維持し、また衰えれば回復させることがわれわれの職務である」(訳本、256頁)。

 このような重要性を付与される仕事をしたいものである。