食育ソムリエ

もてはやされているものほど、粗製乱造で、中身も怪しくなるし、一過性に終わることが多いが、昨今流行の食育は、官民一体となって盛り上げている国民運動である。

食が大事であるのは、人間の最も基本的活動だからであり、いつの時代にも、食は大切だと説かれてきた。だから、食って大事だよねと、周囲が騒ぎ始めるのは、何か怪しいのではないかと思ったほうがいいのかもしれない。

もちろん、近年の、以前だったら明るみにならなかった食にまつわる事件が、制度上の変更などを受けて、激増していて、しかも、よく分からない代物が出回っているから、勢い、食への関心もあがろう。

そんな中、食育ソムリエなるものがあることを、つい最近知った。資格試験全盛期は下火になったかと思いきや、相変わらずやることは変わらないのかもしれない。

「食育ソムリエ養成講座(第8期)募集のご案内」
によると、「売場でお客さまから野菜・果物の栽培方法の特徴、旬や鮮度の見分け方、栄養成分やその働き、調理方法や保存方法など」を聞かれても、答えられ、消費者に提案していく役割をもつのが、食育ソムリエなのだという。

かつて八百屋が持っていた機能が失われたので、その穴埋めを、食育ソムリエが担おうというわけである(JAのマーケットの中だけの話のようだが)。知恵を知識化する行為は、まぁ近代の宿命というかなんというか。。。

さて、『まともな食べ物ガイド』という本がある。その冒頭には、「安全で自然な食べもの―まともな食べものをもとめる消費者層は、ここ4、5年ですっかり定着しました」とある。

1990年のことである。それから18年後、わたしたち消費者はまた安全な食材を求めている。。。