縁起

元来は仏教用語であった縁起。縁起を担ぐとは言うけれども、「「縁起を担ぐ」という表現は、「御幣を担ぐ」が変化したもの」らしい。

「依他起生」といった仏教に特徴的な関係性の哲学を背景にもったものだろうけれども、先日、中国人の知り合いが買い物をする際に、面白いなと思ったことがある。

湯飲みを4個買うと言ったその人に、陶工が「4個は日本では縁起が悪いので5個にするといいですよ」と言うと、「いえ、中国では4つとか、6つとか、分けられる数の方がいいのです」とその人は答えたのだった。

これには陰陽の思想が影響しているのだろうか。

陰陽で2で割れて、よい数字であるし、『易経」の「太極 - 両儀 - 四象 - 八卦」の影響かもしれない。

また仏教では6はよい数字だし(例えば六角堂)、道教では8がよい数字で(例えば八角堂)、いずれも偶数である。

日本の場合には「割れる」「分かれる」が「別れる」に通じるといった言霊思想的なものが影響して、偶数は縁起が悪いように思われるわけで、その点、割れる数字の方がよいという中国人の知り合いの話は新鮮だった。