Abbado

アバドが2000年の5月にベルリンで振ったベートーヴェンの第九のDVDを観る。病後のためか、かつての流麗な動きが見られない。

しかしベルリンフィルの小規模編成での演奏は見事だ。時折、管の方でおやっと思う音が飛び出ることもあるが、ベーレンライター版一辺倒ではない演奏もよく、歌中心の演奏である。

ベルリンフィルの演奏を観るたびに大丈夫かなと思うのがコントラバスの動き。なんだか異様に軽やかに弾いている。。。

ともあれこの病気で一挙に老け込んでしまったアバドを観て、つい昔の指揮振りを見たくなって、94年の日本公演のDVDを引っ張り出した。

曲目は「禿山の一夜」の原典版火の鳥チャイコフスキーの5番である。5番は好きな曲だが、この演奏に限ってはあまりよくない。

ところがムソルグスキーの少々屈折した情念がほとばしる(ある種分かりやすくしてしまったのが一般的なコルサコフの編曲版)原典版「禿山の一夜」と、ピアニッシモが絶品の火の鳥。これがPalでしか売られていないのはまことに勿体無い。