唐九郎、環境問題...

昨日のうちに来週の講義の準備が終わる(Power Pointにする作業はまだ)。やればできるものだなと一人感心しつつ、これで油断してはいけない。翌々週の準備もしておかないといけないことに気づき、週末までになんとか終わらせられればと思っている。

今朝電話があって例の仕事の打ち合わせが日曜日に入ることになった。月曜日から仕事をすることになるとすると、月曜日夜の勉強会準備も早々にしておかないといけない。。。

さて昨晩は2冊の本を枕元に置いてぱらぱら読む。

1冊は『唐九郎のやきもの』(平凡社、1997年)。現代では分業体制になっている研究家と作家の両面を併せ持つ最後の人物として杉浦澄子氏はじめ何人かの論者がエッセイを寄せている。

メモ魔であったことや、貸借対照表のアイデアで事典を編纂したとか、いろいろ逸話があるが、驚いたのは、次の一節。

「講座派の理論では日本近代史は解明できんとぼくは思う。具体的に言うと、瀬戸の近代経済史も労農派の理論でないと解けないんじゃよ。実際にやってみたからわかるんじゃ」(109頁)

陶工が講座派や労農派に言及するとは、あの時代結構一般的だったのだろうか。。。彼の勉強意欲には脱帽するばかりだ。

さてもうひとつは池田清彦『環境問題のウソ』(ちくまプリマー新書、2006年)ダイオキシン騒動はどうも胡散臭いなと思っていたので、その項目をぱらぱらと(他にも商業主義的になり政治化している温暖化の問題など)。

ダイオキシン問題でよく問題にされる検出量の単位であるピコグラム。実はどれくらいの量の単位かよく分かっていなかった。

1999年に物議をかもした所沢産のホウレンソウに含まれる高濃度ダイオキシンは0.75pg/g。1gを規準にすると、以下ピコグラムまでは= 100mg=1,000,000ug=1,000,000,000ng=1,000,000,000,000pgとなって、なんと1グラムは1兆ピコグラム。ホウレンソウに含まれていた高濃度ダイオキシンは1を割る0.75ピコグラム。

ダイオキシン健康被害がどれくらいの摂取量でなるかはよく分からないようだが、致死量は、このホウレンソウの40トン相当分らしい。あのホウレンソウを40トン食べると死んでしまうということで言えば、実際裁判でテレビ側が賠償金を支払ったようにほとんど害はないに等しい。

横浜国大のグループが調べた結果、われわれが摂取しているダイオキシンは環境からが40%、農薬から30%、焼却から30%だったようで、一番の問題は農薬起源のものらしい。

焼却時に出るダイオキシンは実は大して問題にならないという事実を改めて知ると(もちろんあくまでダイオキシンの放出量に限定して)、焚き火をしているだけで血相をかえてやってきてダイオキシンが出るからやめなさいと説教する人はテレビから一方的に流れる情報を鵜呑みにしてしまっているという点で、ちょっと問題である。

ダイオキシンのようにマスメディアがこぞって健康被害を訴えたり、マイナスイオンのように健康によいといって宣伝する場合には何か裏があるのではないかと疑ったり、信憑性について調べた方がいいという格好の素材である。

別の本で、花粉症と寄生虫の話があった。以前からちょくちょく目にするこのことは、単に相関関係の話かと思っていたら、そうではなかった。従来、寄生虫に向かっていた体内の反応が、寄生虫がいなくなったことで、花粉などの対外からやってくる物質に反応するようになってしまったという理屈。

それまで寄生虫対策で疲れていた体内の反応が、人糞利用をやめたり、様々な衛生管理をするようになって、日本人の体内に存在していた数十%の寄生虫が一挙に数%になったことによって、他の物質に反応できる余裕が生まれたために、花粉症が大量に出現するようになったとは皮肉というかなんというか.....。