イリイチから

寝る前に読んでいる本、イリイチの『生きる意味』から。プエルトリコにおける学校教育が半分の子供達の生まれつきの貧困を一層悪化させ、しかも彼らに教育を修了していないという罪悪感を植えつけるだけであることを批判する文脈で、彼はこのように言う。

「学校とは不可避的に脱落者を生み出すシステムであり、しかも成功者よりも多くの脱落者を生み出すシステムである」

また教育によって子供と大人が分離されたことについて、「われわれの近代社会がおこなっているもっとも不吉なことがらの一つが、この特殊近代的な意味における『子どもたち』の創造であるということです。…。(改行)…わたしは『子ども時代』という観念をまったく拒否し、とりわけ19世紀の『小さくて傷つきやすい子ども』という観念を拒否しました。そうした意味における『子ども』が近代の構築物であるということを、アリエスはわたしに理解させました」

インタヴューによるこの本はイリイチの著作の全体がとても分かりやすく語られていて、極めて面白い本だ。フェミニズムから攻撃され、右翼左翼の両陣営からも批判されと、いわば孤高の思想家でもあった彼の軌跡はじっくりと検討するに値するものと思われる。