在沖海兵隊移転に思う

「在沖海兵隊移転、日本が施設整備費も負担 法的措置検討」だそうである。

在日米軍再編協議で沖縄の海兵隊を約7000人削減することで米国政府と合意したことを受け、移転先となるグアムでの米軍施設の整備費の一部を負担するため、新たな法的な枠組みを整備する検討に入った」とのニュースである。

記事も指摘するように「日本国内での米軍基地の施設整備費は日米地位協定に基づき日本側が負担する仕組みがあるが、国外の米軍施設の整備については日本が財政支援をする法的根拠がないためだ」だからそうだ。

沖縄に駐留するアメリカの海兵隊員の多くは貧困層の出身者が多く米国の学内で(!)公然とスカウトされ、人殺しの技術と精神を徹底的に叩き込まれてしまう。そして海兵隊はアフガンやイラクへ行き、ウォークマンを聴きながら機関銃やミサイルを撃って「業務」をこなす。。。

その在沖米軍の削減、そして6,000人ほどの兵員のグアムへの移転でなんとその費用(5000億円)の一部を日本が負担できるように検討に入っているというのだ。

しかも「日本政府関係者は「他国と違い、(沖縄の負担軽減という)日本側の事情で米軍が移転する」と説明して」いるらしいから、驚き呆れる。

米軍の海外移転に対して、日本がまったく負担無しに済ますことはできないだろうが、東アジアにおける拠点という意味でも、また中東地域への中継点という意味でも沖縄の地政学的優位は明らかである。それを逆手にとって交渉を有利に進められないのだろうか。しかも縮小とは言え、沖縄に新たな基地建設も進められている状況の下でだ。

『検討した結果、今回日本政府は負担に応じられないという誠に残念な結果となりました』という返事をしたら如何だろうか。

一方、11月3日に石原都知事がワシントンの米戦略国際問題研究所「市民社会の米国、戦争で中国に勝てぬ」といった趣旨の講演をしたようだ。

一体どんな内容なのだろうと思って記事を読む。

昨今中国の兵器開発は飛躍的な向上を見せている。生命の価値をなんとも思わない中国がそのような軍事力を持つのは大変危険であり、現在、冷戦下以上の緊張状態にある。戦争になったら、生命を重んじる米国は負けてしまうだろう。有効な手段はEUなどでも始まっている経済の封じ込めだという内容。

この方、本気で語っているのかしらんと思ってしまう内容だが、石原氏のこと、おそらく目をぱちくりしながら大真面目に話していらっしゃるのだろう。

「戦争は生命の消耗戦。生命に対する価値観がまったくない中国は憂いもなしに戦争を始めることができる」。「生命に対する価値観がまったくない」とはあり得ることなのかと揶揄することも馬鹿馬鹿しいほどの低劣な議論である。おそらくご本人も「生命に対する価値観」を持ち合わせていらっしゃらないのだろう。そこまで「自虐」的にならなくてもと思うが、彼の外国人や障害者に対する差別などを想起すれば、なるほどと思われる。

またこうも言っているらしい。「戦火が拡大すればするほど、生命を尊重する、そういう価値にこだわる市民社会をもつ米国は勝てないと思う」。

この発言、正直、どのように解釈したらよいのか迷ってしまう。戦火が拡大すれば市民社会の側から反戦運動が起きるからアメリカは負けると言っているとは思えない。

生命の価値にこだわる国かそうでない国かで勝敗が分かれるというウルトラ(大和)精神主義の議論だから、単にアメリカは生命を尊重する国で酷いことはできないが、中国はそうじゃない国だからどんな酷いことでもやってしまうということだけを言いたいようだ。

しかし、各地での紛争や虐殺にどれだけアメリカ政府が肩入れしたか数え上げればきりがないほどで、また劣化ウランをはじめ酷い兵器を当然の如く使い続けているアメリカという国の状況を、そして小学生でも知っているこのようなことを石原氏はご存知ないのだろうか。

このような内容的には下らないが、政治的には大きな効果をもつ人物のコメントにいちいち反応しているのは意味のないことなのだが、論文が煮詰まっているせいで、つい長々と書いてしまう。。。