ここ数日のこと

9/24(土)今日は前々から約束していた諏訪のサンリツ美術館へ知り合い数人と出かける。予定よりも1日繰り上がったため、台風の影響もそれほどない日和。

サンリツの前に諏訪大社に参拝。ここも前々からお参りしたかった神社。建御名方が出雲から追われに追われ、ここ諏訪で帰参したという伝承が残っている。大国主の柱の神事と同様、ここでも御柱祭がされている。祭りで立てられる4本の柱よりも、境内で驚いたのは樹齢のある古木。神の宿る霊域のような雰囲気を漂わせている。

境内も不思議で、建物があまり神社っぽくないし、出雲の高床式の風情は微塵も無い。たまたま結婚式の最中で、太鼓と笛の音が聞こえてくる。気になったのは正面に向かって右の山側にある盛り土。お墓だろうか....。

諏訪大社を後にして、サンリツの駐車場に車を停め、そこの係りの方に薦められたおそば屋○洲で昼食をとる。ここは由緒ある有名なお店。著名な方々のサインや写真が店内の至るところに飾られていて、三島由紀夫のサインなどもあるが、850円のざるそばは???。

さてサンリツである。1階部分は駐車場と受付。2階部分が展示室である。お目当ての不二山はメインディっシュだから少し後回しにして、ほかの展示物をまずは拝見。

とりわけ宗入の樂茶碗が素晴らしい。養子で迎えられただけのことはあると言っては失礼だが(尤も大雑把に言って、江戸時代の結婚では4人に1人は婿取りであった)、長次郎の景色を残しつつ、端正な姿。

そして本阿弥光悦の茶碗「不二山」である。まず見込みが素晴らしい。円相の如く、歪みや穢れの無い美しい円である。手捻りで削りというのは樂茶碗に見られるが、あのなんとも言えない独特の姿に仕上げた技量というかセンスには真に脱帽。

但しである。口縁がやはり素人というか、不安定であるのが何とも残念。作為が過ぎてしまったとでも言うのだろうか。ただそれを補うに余りある魅力に溢れる茶碗である。国宝であるのも首肯し得る。

また同行した知り合いのお茶談義、とりわけ仁清のお茶入の話など傍で聞いていて、その知識と観察眼はすこぶる勉強になった(というか、私が無知なだけか.....)。系統だって知識を得ることの重要さを痛感する(どうも好きなものしか目に入らないタイプなので.....)

不二山の余韻に浸りつつ、一路、三島へ。夜は申し訳無い事ながら、鰻をご馳走になる。お店では天然物の鰻を扱っていて、その白焼きを戴く。養殖物も一緒に戴いて食べ比べをすると、身がしっかりして脂がのっている点で、さすが天然物はよい。

ただ天然物は川のものが最近身が細く脂ののりもよろしくないということで、海の「しゃこ鰻」であった(入荷する天然物はそれぞれ大きさにばらつきがあるらしく、われわれの戴いたのは少し小ぶりなものだったようだ)。

夜遅くに伊東に着く。台風の影響で風がずいぶんと強くなっていた。


9/25(日) 論文に集中。夕方、海を見に海岸線を走る。夜は前々から気にはなっていた「五味屋」へ。刺盛定食は1600円ほどだが、まぐろ、はまち、甘海老、帆立、白身、太刀魚(!?)、中トロなどが3切ずつ入っていて豪華。そちらはJさんが食べ、私はマグロ、白身イカを細かく刻んでご飯にのせた三合丼。このお店もいろいろ有名人の写真やサインが並んでいたが、無名の人々の感想などもある。気持ちのいいご主人の人柄か、また来たくなるようなお店だ。

9/26(月) 部屋の浴室は有り難いことに温泉が出る。ところが、浴室をリフォームしてからどうも温泉の質が悪くなったように感じたので、大沢温泉につかりに行く。ここは山の傾斜を利用して残り半分を石で囲っただけの野趣溢れる露天風呂。化粧の湯という別名があるほどで入った後、本当にお肌がすべすべになる。カルシウムを含んだ炭酸泉だが、硫黄や塩分も含む。四国の道後温泉の成分に近いらしい。

伊豆では唯一の混浴の温泉だったが、1年ほど前に男湯と女湯とに分かれてしまった。女湯は柵の向こう側だが本当に狭くなってしまった。一応、女湯側からだけ開く戸から男湯に入りに来ることはできる。

保健所あたりが混浴はよろしくないということを言ってきたそうだ。思えば明治日本において欧米列強の文明に並ぶことができるように日本国内の習俗を政府が変えさせたわけだが、混浴はまさにその否定されるべき典型的な対象だった。

もちろん中国や韓半島から見ても、混浴の習俗は人倫にもとるものだったらしい(日本には独特な習慣が多かったので、養子縁組をはじめそのようなことは多々ある)。

ともあれ外気温が下がってきたので、源泉から湯船を通り川にかけ流している大沢温泉の露天の温度もちょうどよい具合。しばし山の小屋で休憩してから、気まぐれ茶屋へ(路傍や水田の中の彼岸花が美しい。。。)

買う人も気まぐれ、売る人も気まぐれ、開くのも気まぐれ、値段も気まぐれという面白いお店で、道路の向かいには銘水観音の水が涌き出ている。一口飲むと、まろやかで美味。タンクをもってこなかったのは失敗だった。

お店では、付近でとれた野菜やお米を売っている。新米10キロ、黒い蒟蒻、自然農法で虫食いのモロヘイヤ、伊豆の塩、サツマイモ、天然わさび(3本! 600円)を購入。

お昼はその先にある「竹安」(ちくあん)というお蕎麦屋で。なんと、営業日が土日月祝の11〜14時という変わったお店。ご主人は白い髭を蓄えられた個性的な風貌で、ちょっと愛想はよくないが、それが蕎麦へのこだわりを感じさせる。

そして実際、蕎麦の香りが素晴らしい! 8割くらいのお蕎麦。そばつゆは淡白だから蕎麦の香りを殺さないという配慮も感じられる。Jさんは鴨せいろで、これもまたゆず風味で美味しい。しめて1600円。

夜は部屋で豚肉の生姜焼き、キャベツの炒め物、蒟蒻の刺身など。

9/27(火)
漁港近くのお店で目鯛を購入。この日と翌日まで、お刺身、焼き魚、出汁、鯛ご飯などで存分に味わう。。。

論文もそれなりにはかどる.....。

9/28(水)
夕刻 東京に戻る。夜、合唱団の練習。