ホワイトバンドの抱える問題点

を指摘したHPがある。

確かにホワイトバンドキャンペーンが主張していることのほとんどは抽象的で、具体的なものはない。上記HPでの批判の主眼はホワイトバンドで集めた資金は全て「左翼」系の活動団体の活動資金になるだけだから、どれほどの意味があるのかという点に尽きる。

ただキャンペーンは今年12月に終わり、集金された資金はこの9月から使われ始めるというから、実際、どのような社会的意義を帯びるのかは、まだ分からないのが現状だ。

ホワイトバンドへの批判として挙げられる第1は、他の国のキャンペーンに比してバンドとTシャツの値段が3倍だというもの。真相は分からないが、NGOやNPOに対する認識が低いこの国では1個あたりの値段を上げないと有効な運動にならないという認識があるのかもしれない。

また貧困国の中には北朝鮮が想定されているので、そうした活動のための資金集めになってしまうのではないかという危惧も出されている。これには最近の北朝鮮バッシングの影響もあるが、北朝鮮の拉致という国家犯罪と、その地で苦しんでいる人々への援助とは分けて考えるべきだろう(それが独裁者を利するのだという批判もあり得るが....)。

ともあれ貧困の撲滅を掲げるキャンペーンで、それも啓発を主眼にしているものでは、目標はどうしても曖昧にならざるを得ない(尤も政党の発表するマニフェストも似たり寄ったりな気もするが)。

フェア・トレードについても、IFAT( International Federation for Alternative Trade)=国際オルタナティブ・トレード(フェアトレード)組織連盟の規約を見る限り、それほど具体的ではないが、世界の貿易を扱う以上、会計の透明性を確保し、当該国での労働条件に関する法の遵守といった労働の民主化などが目標になるのは当然と言えば当然か。

「搾取工場(Sweat Shop)」のように、10数時間に及ぶ長時間労働や児童労働、セクシュアル・ハラスメントなどの問題があるところと取引する企業の製品は買わないという行動は大きな意味をもっている(アメリカでのナイキの不買運動など)。

最近香港でも開業したディズニーランド。日本でも大人気の遊び場である。しかしあそこで売られている商品は搾取工場で生産されたものだ。最近は改善しているのかどうか調べていないが。。。

そもそもディズニーランドがなぜ楽しいところと思われているのか理解できない。遊ぶために長時間並ぶことが嫌なのではない。あそこにはおよそ遊びの要素がないからだ。つまり参加者が工夫する余地が一切ない。まぁ、理屈はともあれあそこにいると異様な違和感を感じるから、どうも好きにならないというだけのことなのだが.....。

閑話休題

フェアトレードの話に関連して、安価な商品の背景には2700万人に及ぶ「現代奴隷」の存在があると指摘した『グローバル経済と現代奴隷制』の告発は生々しい。ブラジルの熱帯雨林の喪失を嘆く人はいるが、そこで労働させられ、死んで行く人々に思いを馳せる人は確かに少ない。私もこの本を読むまでは知らなかった。

著者によれば、現代の奴隷制はかつて奴隷が合法的であった時代とは異なり、非合法であるが故に「奴隷」の生命や健康に気遣う必要がないため、より過酷なものとなる。

具体的にはタイの買春宿で働く少女、ブラジルの炭焼きなどの事例が豊富に(!)紹介される。とくに指摘されているのは現代の奴隷制は単に途上国の極貧者の労働や児童労働を指すだけでなく、先進国における奴隷の存在をも問題にするということである。

とりわけ人口爆発と農業の近代化による奴隷予備軍の大量発生、発展途上国における政治腐敗、暴力の野放しなどが現代の奴隷制を再生産させる条件となってしまっている。もちろん日本も性奴隷をはじめ例外ではない。

さらに公正な貿易や現代奴隷制の撤廃とともに重要なのが世界平和であろう。積極的な平和外交の展開を日本が担えればよいが、世界のどこにでもある「普通の国」のように軍隊でもって秩序を維持しようという方向に流れていっているから、また別の方向で平和に寄与することを考えないといけない。

積極的な運動の主体でないとすれば、例えば不買運動が影響力としては微々たるものにしても、スタンスとして有意味なものとなろう(スタンスから社会的うねりを引き出せればよいのだが)。

イスラエルパレスチナに対する虐殺は目に余るものがあるが、イスラエル支援企業のリストを参考に不買運動をするのもよい。

リストにあるスタバはフェアトレードの観点から批判され、店内で飲むコーヒーについてはフェアトレードの商品を導入したが、店内で売っているコーヒー豆については確かまだフェアトレードの商品ではないはず。。。

また軍需産業は自動車や航空などの産業と密接に結びついているから、不買運動を起こす場合には、こうして産業の製品とも、どこかで距離を置く必要がある。

いろいろ書き散らしたが、そろそろ論文に戻らねば....。