「知るを楽しむ 何でも好奇心」ワイン。。。

某知り合いからNHK教育テレビの「知るを楽しむ 何でも好奇心」で甲州種のワインを取り上げると聞き、テレビを見ている場合ではないのに、つい観てしまう。

4回シリーズの第1回目は「葡萄酒とワインの間」。日本におけるワインの歴史を辿り、江戸時代、灘などから江戸に集まるお酒の中でも葡萄酒は倍の値段がしていたと言う。

その頃の葡萄酒の味は漢方薬なども入っていて甘いものだったと言うが、明治以降の葡萄酒も基本的に甘かった。今よく飲むワインが普及し始めたのは戦後になってからのことで、70年代くらいにワインブームを作り出そうとしたらしい。

タイトルが葡萄酒とワインの間なので、両者について思いを馳せるよい機会になると思ったのだが、そこは25分ほどの番組の性。深い考察はなかった。

番組後半、麻井宇介さんを初めて観る。なんだか嬉しくなる。某知り合いは麻井さんの弟子で、彼から薦められた麻井さんの本を読んで、すっかり魅了されたからだ。

とりわけお薦めなのが『比較ワイン文化考』『ワインづくりの思想』である。

前者はヨーロッパでワインは水のようであると言われることが日本で通常理解されていることと雲泥の差があるということから始まり、ワインの楽しみ方の歴史や流通の仕組みを中心に文化的な背景が見事に語られていて、巷のワイン本が辞書の如く情報の羅列に終わっているのとはまったく趣を異にする良書である。

とりわけアノ食音痴と思われるイギリス人がシャンパーニュ、ポートワインなどの創造に大きく関わったことや、ワインを作る土地を失ったため現代のような遠隔地のワインを取り寄せ愛好する文化を作り上げたことなど、驚くような話がつまっている(単なる私の無知か。。。。

番組では1980年代からのワイン・ジャーナリズムの登場がカリフォルニア・ワインをはじめ、世界的なワインブームの火付け役となったことを田崎氏が説明しているが、ワインが格付けされ、流通に大きな影響を与えているのがロンドンとニューヨークの市場なのである。

ワインが日常的な飲み物としてふんだんになかったからこそ、イギリスやアメリカでは、ワインの飲み方やワイン入門書が出版され、遠隔地のワインを有り難がる文化が形成される(尤もアメリカの場合、カリフォルニアの成功は自国のワインに自信をもたせたが)。

欧州大陸ではフランスでさえ100年前までは遠隔地のワインを取り寄せることなどしなかったし、東欧はもちろんイタリアでさえ最近になってようやく海外への商品としてワインを生産し出した。

さて麻井さんの『比較ワイン文化考』はいわゆるスノッブの批判も小気味よい。他方で『ワインづくりの思想』はニュージーランドのワイン(酸化防止剤を添加しないワイン。しかも美味しくない有機ワインではない)を素材に宿命的風土論を徹底的に批判し、ワイン作りを行なう思想こそが重要だと説く(これは彼年来の主張)。

麻井さんは2002年にお亡くなりになったので、ワインの思想を語るお姿に生前接することができなかったのは残念至極。。。

さて第2回はいよいよ甲州種のワインの話に入る。某知り合いが言うには、これまで甲州種のワインが取り上げられたことはあるものの、随分と捻じ曲げられた内容だったらしい。しかしこの番組はちゃんとしていそうだとのこと。

メルシャンが「きいろか」を作り、中央葡萄酒さんは新たなブドウ畑を開拓し始めたし、丸藤さんも美味しいワインを作っている。

とりわけ甲州種のワインは日本独自のワインとしてこれからが楽しみ品種である。いや、既に十分美味しいのだが、番組に期待といったところ。。。

9月11日には日本の将来を大きく左右する重大な選挙があるから、最近も本業以外で目を離せないことが多い。。。

番組の放送予定日は、以下の通り。
●放送予定日
9月
7日(水) 午後10:25〜10:50
14日(水) 午後10:25〜10:50
21日(水) 午後10:25〜10:50
28日(水) 午後10:25〜10:50
全4回シリーズ

第1回 葡萄酒とワインの間
第2回 「甲州」の秘密
第3回 香りの魔術師に聞く
第4回 解明 料理との相性