チャイコフスキー交響曲第5番の演奏のベストは

チャイコフスキー交響曲第5番のこれぞという版にはいまだ出会っていない。

ベストに近いところでは、ムラヴィンスキー=レニングラードがあるけれども、ゲルギエフベルリンフィルのライヴ録音もよい(こちらのライヴ録音はCD−Rでしか販売されていないが、ラジオ放送されたものだから、ゲルギエフにとっても、第4楽章の管のミスをのぞけば、それほど不本意な演奏ではないと思われる)。

ゲルギエフのチャイコ5番といえば、ザルツブルグ音楽祭でのウィーン・フィルとの演奏が、ウィーン・フィルの実力を引き出したものとして有名だが、全体的にはベルリン・フィルの方がよいように思う。

ウィーン・フィルの演奏はとても迫力があるのだが、ティンパニがいけない。オケ全体とどうもうまく合わないし、第4楽章最後の4連弾。見事にずれている。誰が叩いたのだろうか。。。

ただウィーン・フィルの弦楽の艶を考えると、ベルリン・フィルの弦楽はパワーこそあれ、やや物足りなさを感じてしまうという問題がある。

生でチャイコの5番を聴いたのは、某市大の演奏と、ロストロポーヴィッチウィーン・フィル(楽友協会)である。ウィーンでは2回とも、オケの後ろで聴いたので、管が少々うるさかったが、楽しげに指揮するロストロポーヴィッチの様子もよかったし、演奏そのものも見事だったと思う。

日本とは異なって、欧米では指揮棒の持ち方や振り方(!)を教えないから、個性的に指揮をする人が多い。

ノリントンに至っては、本番ではまるでいたずらっ子さながらの指揮振りである。ウィーンの国立歌劇場のピットで指揮する様子を見ると、時折、手を伸ばして指示を与える以外は、笑みを浮かべながら腕を組んでいた。

その点、ゲルギエフは辺境の共和国出身ということもあるだろうけれども、どこまでもまじめな指揮ぶりである。

しかしイギリス人の指揮者が概して肘をつかったり、まるでコメディに出てきそうな滑稽なスタイルで指揮をするのはなぜだろう。