CD,靖国特集

午後、先日戴いたマウンテンバイクに乗って図書館へCDを返しに行く。昨夏スイスの山をマウンテンバイクで登る(!)人たちを見て、マウンテンバイクは山登り用だと合点したが、今回乗ってみて、太いタイヤとサスペンションの具合からすると、都会では少々勿体無い気がする。

しかしスピードが出るので、車道を走っても回りの車と違和感なく走れるのはよい(自転「車」は道交法からすると、当然「車」の範疇だが、日本の狭い車道をたくさんの自転車が走ると危ないので、歩道を走ってもよいことになっている稀少な「車」)。

借りていたCDは3枚。ヒラリー・ハーン=ロンドン響によるエルガーのヴァイオリン協奏曲。う〜む、巧い。イギリスの作曲家のあのねちねちしたアンサンブルと見事に溶け合い、歌い上げている。

彼女のCDでは、バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番もお薦め。清らかな室内楽が一層引き立っている。

ただ未だに彼女のシャコンヌを聴いていない。。。どのような仕上がりなのか、非常に興味がある。

2枚目は2002年のチェイコフスキーコンクールで優勝した上原彩子さんの『グランド・ソナタ』。こちらもさすがに上手。ただピアノの音に艶と大胆さが欠けているように感じたのは、こちらの聴き込みが足りないからか。

3枚目は、ランラン=サンクトペテルブルグ響のラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。ロンドンのプロムスでのライヴ録音。地元紙では絶賛のようだが、ちょっと失望。

ラフマニノフのロマンティシズムがまったく無い。あまりに健康的な演奏。全てがすらすらと流れてしまう。テミルカーノフサンクトペテルブルグは好きなコンビだが、生で聴くとよいのに、録音ではどうもその実力が発揮されていないように感じる。

図書館では、『現代思想』をぱらぱらと。実は8月の靖国問題特集が出ていたことを今日初めて知る.....。

高橋哲哉+田中伸尚「〈靖国〉で問われているもの」では、とくに靖国における「同意なき合祀」をめぐる問題が論じられている。

小泉義之「贖罪の時」は、相変わらずの文体で、時間論などを援用しつつ、軽々しく言われる「英霊を弔う」という行為が実はほとんど突き詰められていない、その点での無意味さを論じている。

子安宣邦「『靖国問題』とは何か」は、小泉首相公式参拝の是非に矮小化されがちな靖国問題の陥穽を論じている。とりわけ靖国問題憲法(就中、政教分離の)問題であり、国家の基本的な体制に関わる問題であるということが論じられる。

戦争で戦い亡くなった兵士を弔う場所として、そして弔い続ける場所として、戦前の修身でも刷り込まれた「靖国」を、平和を祈願する場所としてお参りすると小泉首相は言うわけだが、それがいかに矛盾したことであるか。

「感動した」などと幼稚園児レヴェルの言葉でしか語れない大人が未だに政権の座に就いているとはどうも奇妙としか言いようがない。