キリスト教原理主義.....

戦後CIAが各国での暗殺や虐殺にいかに深く関わっているかはそろそろ周知の事実と思われるが、ロイターのニュースに露骨な記事が出ていた。

「米キリスト教福音派指導者、ベネズエラ大統領暗殺を呼びかけ」
「米キリスト教福音派の右派で有力指導者のパット・ロバートソン師」は、「ブッシュ大統領と政治的に同じ立場であるほか、同じ福音派で、保守派キリスト教団体クリスチャン・コアリション(キリスト教徒連合)の創始者

 同師は番組の中で、チャベス大統領は米国にとって『極めて危険で、共産主義浸透とイスラム過激主義を助長している』と述べた。」

ベネズエラ当局はこの見解を「テロへの呼びかけ」として、ブッシユ大統領にロバートソン師を非難するように求めているらしい。

アメリカこそが神に祝福された国で、それに従わない国は悪魔にとりつかれた国であるという、ハリウッド映画のような単純な構図が「生き生き」としている状況には身の毛がよだつ思いがする。

アメリカのキリスト教は日本のキリスト教(神学)に大きな影響を与えているが、アメリカのキリスト教原理主義がもつ独善さについては、あまり認識されていないように思われる。

キリスト教であれ、イスラム教であれ、原理主義は、異質なものを認めようとしないことである。これは原理主義の思想がそもそも同一宗教内の堕落、世俗性を批判するところから出発しているからでもある。

当然他宗教などは受け入れる余地が無い。かつて宗教改革においてプロテスタントの諸教派でも、カルヴァン派は、救済されていない者は身内であれ悪魔であるとして忌避したこともある。

フロムだったろうか。カルヴァンジュネーヴにおける恐怖政治を、ナチススターリンの体制の思想的淵源と見做したのは。しかし他者に対する寛容、自由の大切さ、苦痛の最小化という点は、いかなる場合においても、優先的に保障されなければならないだろう。

優生学にもいろいろあるが、人間が他者と共に生きる存在として道徳的に進歩するという意味での優生学的知見はもっと見直されてよいだろう。それはとりもなおさず歴史から学ぶこととワンセットになっている.....。

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先ほどのロバートソン氏の件では、CNNのニュースだと、「一応」謝罪したそうである。「暗殺」ではなくて、「排除」と発言していたらしい。いずれにしても「特殊部隊による排除」とは、まっとうな宗教者がする表現とは思われない。。。(もちろん「まっとうさ」の定義は厄介だが)。