香水・・・

littlejam2005-07-19

BBCのサイトで、ロンドン同時テロの容疑者の1人、リンゼーがテロの数日前に1千ポンド(20万円)相当の香水を購入していたらしいと知る。香水は爆発物の製造に利用できるそうだ。

またMI5(軍事情報活動第5部隊)は容疑者の1人カーンを事前に調べたが、脅威なしと判断していたらしい。どのような点で脅威があるかないか、判断が難しいところだ。無差別テロは赦し難い所業だが、違法な別件逮捕が常態化している日本では、共謀罪の問題でも指摘されているように、テロ対策の名の下に個人の自由が逼迫させられることは大いにあり得る。

それに加えて巷に溢れるテロ対策のアナウンスや立看板。何とかならないものだろうか。そこには、事態の深刻さを真剣に受け止めて安全を確保しようという気構えはなく、ただ単に通達があったから、そうしているに過ぎないように思われる。

ただアメリカの同時多発テロの際もそうだったが、ロンドンの同時テロから受ける衝撃と、イラクで子どもを殺された親の叫びから受ける衝撃が異なるのはなぜだろうか。惨劇は明らかに後者の方が甚大であるにもかかわらずである(もちろん惨劇の深刻さが両者で異なるわけではない)。

ロンドンの同時テロは、被害の実態に始まり、原因究明が詳細に伝えられるが、イラクでの惨劇は米軍の情報統制もあって詳細に伝えられないから、情報そのものの信頼性という点でリアル感がもてないのか(国連で非難されたアメリカのパナマ侵攻しかり)。

或いは、よく言われるように、欧米社会と日本、それに対する中東やアフリカを、我々/彼らの二分法として、区別するからなのか(ここでもまたアジアの位置は微妙だ)。。。

ここで想起されるのは、知り合いの某氏から戴いたP・シンガー『グローバリゼーションの倫理学』(昭和堂)での話である。世界で飢餓や貧困に苦しむ人々のために、余裕のある人が年収1パーセントの寄付をすれば、飢餓や貧困を相当迅速に軽減することができるということをシンガーは提案する。

しかしそれは、この本の原題がOne Worldとなっているように、世界が「一つの世界」と意識されなければ、なかなか実現できないと言う。

倫理的反省の点では、あらゆる人々を平等に処遇すべきということにはたいていの人が同意するにもかかわらず、日常の直観レべルでは近しい関係の人々を優遇してしまう。シンガー自身も批判的なレベルを徹底させることの困難さは認めているようだが、こうした葛藤はもう少し原理的に突き詰めておく必要がある。。。